<< top << text << novel |
「幽霊船が出没したらしい……」 右目に大きな傷跡のあるスカーフェイスの男――レッドは、紙面を机いっぱいに広げて小さく写った記事を指差す。 行方不明者五十五人。人間とレプリロイドの割合は三対五。港から出た漁船が海域に乗る前に忽然と消えたらしい。 『幽霊船の仕業ではないか』という噂は、この海近辺で船を出していた漁師の証言から立っていた。 「おら、確かに見ただ。あれは間違いねえ。幽霊船だ。霧がすぅーっと濃くなってきてよ、デっカくてくっろい影が見えてきただよ。よくよく見ると船の形をして、大砲が仰山ついておったで。そして声が聞こえてくるだ。『さかなをとるなー、ころすなー』って。おら、おっそろしくなってきて逃げてきただよ」 また、幽霊船事件で亡くなった被害者家族の証言では、事件の直前に被害者と通話していたらしく、その内容によっても『幽霊船事件』の裏づけをすることができた。 家族はこう証言している。 「息子がいなくなる前、確かに私たちは通話をしていました。そのときあのコは、こう言ったんです。『うっ、うわーっ! なんだ、これは!? 幽霊船か!』って。……それが最期に交わした息子との会話です。最初はイタズラかと思いましたが、まさか本当だったなんて……」 謎が深まる船の喪失事件。被害を受けたのはこれが二回目だった。一回目も漁船であることから、どうやら幽霊の狙いは船乗りらしい。 レッドは視線を紙面から正面に上げた。その先にいるのは、長身痩躯の飛魚型レプリロイド。名を、スプラッシュ・ウオフライという。眼つきの悪さが印象に残る、通称『卑怯者』だ。いつも何故か不機嫌そうな顔をしている。 「で? 今回の指令は幽霊船を調査しろってか? ヤだね、オレはパス。他のヤツに回せばぁ?」 ウオフライの物言いに、レッドのコメカミがぴくんと動く。 「はあ?! お前、いつまでそうやってサボるつもりなんだ!? 今日という今日は何が何でも働いてもらうぞ!! それに海はお前の絶対領域なんだろう? それとも何か? 幽霊船が恐くてビビってんじゃねぇだろうなぁ!!」 「恐くなんかねーよ、ばーか。オレは現実主義者なんだよっ」 「レッドアラートの総帥に向かって、『ばか』とは何だ、馬鹿者めっ! ちっとは礼儀ってモンを教えてやらなきゃならんなぁ!?」 指をぽきぽき鳴らしながらレッドはゆっくり立ち上がる。机の脇に置いてあった大鎌を持ち上げ、肩に引っ提げた。 かと思いきや、突然ウオフライへと投げつける。 「うあっ?!」 鎌は回転しながら空を切り、壁へと突き刺さった。ウオフライの長いヒレが、大鎌の振動で上下にぶれる。掠めていったようだ。 「あ……危ね……」 彼はその場に立ち竦んだ。まさか本気で攻撃されるとは思ってもみなかったからだ。 レッドはウオフライの頭のパイプを掴み取り、自分の方向へとぐいと引き寄せる。 身長差は変わらない。すぐ横にレッドの顔がある。右目に傷があるせいか、その表情は借金を取り立ててきた『ヤ』のつく親分のようだった。仮にも市民の安全を守る自警団のリーダーが、こんなに物騒な野郎で大丈夫なのだろうか。 「今夜のおかずは魚料理で決定だな?」 レッドの眼がヤバイ。これ以上逆らうと、本当に料理されかねない。 無意識に放ったレッドの差別言動が少し気に掛かったが、ウオフライはそっぽを向いて受け流すことにした。悪いのはもともと自分だし、仕方ない。 「わーったよ! やりゃあいいんだろ? やるさ! それでいいんだよな?」 その答えを待ってたかのように、レッドは口元に笑みを浮かべる。 「そうそう、最初からそう言えばいいってことよ。お前はほんとに聞き分けが悪くて手が掛かる。『口は災いの元』って言葉、知ってるか?」 「……さあ、何のことかな」 −***− 漁師に護衛を依頼され、ウオフライは漁船へと乗り込んだ。行き先は例の幽霊船が出没する海域。鮪や鰯がよく捕れるらしく、漁をするには評判のスポットだ。 船は出港する。マストに帆が張られた。スクリューにエンジンが掛かる。波を掻き分ける音を立て、水平線の奥にある果てしない世界へと船首を向ける。 「面舵ーーーっ! いっぱぁーーーーい!!!」 キャプテンの声が船中へと響き渡る。すると部下が「押忍っ!!」と応えた。 ハイテクな現世に取り残されたような昔気質の漁師集団。よく見れば船も型が古く、自動操縦ではないらしい。 船室の慌しさに反比例して、ウオフライは船の隅でふて腐れていた。 「ケッ、めんどくせーな」 ダイバーの経験があるだけに、漁船は彼のトラウマだった。海の漢ならば誰でも持つであろう夢や誇りが、ウオフライにはない。アトランティスなぞ、所詮はプラトンが唱えた空想物語だ。龍宮城もなければ乙姫もいない。自分は魚人だが、レプリロイド以外の人魚がいるとも思えない。 魚を捕って何が楽しい。釣りは命を弄ぶ残酷な遊びだ。それを喜ぶ心理が知れない。 ――だからオレはダイバーを辞めた。 沈痛な面持ちで過去に耽っているとき、船員の一人がウオフライに声を掛けてきた。人間だった。中肉中背の四十代の男性。やや垂れ目がちで、無精髭を生やしている。 「よぉ、あんた。レッドアラートのバウンティ・ハンターだってな。よろしく頼むぜ」 「ん。……ああ」 ウオフライは気のない返事をする。機嫌が悪いときにはすぐに「ばーか」と罵って相手にケンカを売るところだが、相手が依頼人――しかも人間なので、下手に悪態を見せられなかった。 船員はウオフライの全身をまじまじと見て、人好きのする笑顔を作る。 「見たところあんたは水中用のようだが、海のことには詳しいのかい?」 「まぁ……それなりに……」 「それじゃあ『ブルークロス』のことも知っているだろう。奴らはしつこくてなぁ――」 それ以降、男が何を言っていたのか覚えてない。上の空で聞いていた。こんな奴と話をするのも億劫だ。適当に相槌をうち、適当に追い返してやろう。 他の船員に手伝いを呼ばれ、男は走り去っていった。 ウオフライはほっと息を吐く。 船首の手摺に持たれかけて、頭を項垂れていた。 見てみると下は海。白い飛沫が青い海面から飛び跳ねる。時々冷たいものが顔に掛かった。潮の匂いが心地いい。漁船は苦手だが、やっぱり海は大好きだ。 レプリロイドといえど、ウオフライには魚としての本性も持つ。それと同時に心を与えられた人間としての性質も。彼自身はそれを自覚しているだろうか。 少しずつ機嫌が上向くウオフライ。しかし突然、背後から鶴の――いや、鴉の一声が飛んできた。 「……ウオフライ、そんなところで何してるんだ?」 「ぎょっ!」 思わずビクっと身体を揺らす。妙な姿勢で楽しそうにしている自分を見られてしまった。しかも同じ仕事仲間に。 ウオフライは手摺を軸に、逆立ちしていた体勢から回転して元に戻す。後ろを振り返り、声の主に鋭い目線を投げつけた。不機嫌さ倍増だ。 「何だよ、カラスティング。何でてめぇがここにいるんだ? これはオレの仕事だろ?」 「悪い、これも任務でな。レッドにお前を監視しろと言われてる」 鴉型のレプリロイド――ウィンド・カラスティングは抑揚なくそれに答える。 物静かな男だ。口数は少ないが、時に酷なことを言う。それゆえの説得力か、ウオフライはますます不機嫌になってふて腐れる。 「ケッ。オレって信用ねえのな」 「…………」 それきり二人は沈黙した。レッドアラートの仲間同士であっても、この二人はあまり会話を交わさない。海と空が溶け合うことがないように、ウオフライとカラスティングも互いの性質上不一致で、決して相容れることがなかった。 船は日差しを浴びて航海する。天気は快晴。風向き良好。 水平線が真一文字に二つの青を隔てる。波が音を立てる。潮の匂いがする。風が冷たい。 しかし天気は変わった。白い靄が船を囲む。この冷気は霧――。 「? 何が起こった?」 「アレを見ろ」 カラスティングは指を前方に差した。ウオフライは目を凝らしてそちらを見る。するとそこには、大きな影がぼんやりと見えるではないか。 いよいよ幽霊船の登場だ。 ウオフライは薙刀を取り出して身構える。同じくカラスティングも二本の短剣を手に掴んでいた。 「来るなら来やがれっ!」 大きな影は次第に近づき、その正体を現した。 −***− レーダーが故障した。霧が外界との交流を分断したらしい。どうやらこの霧は普通の霧ではなく、特殊な仕掛けが施しているのだろう。幽霊船のテリトリーに入ったようだ。 霧の奥から古びた船が現れた。船体は黒ずみ、帆は破れかけている。 それと同時に現れたのが、大きな砲台。丸くて黒い塊が筒の中から飛び出してきた。負の放物線を描いて漁船へと迫ってくる。 「ほ、砲弾だ!!」 突然の襲撃に、船上はパニックになる。 しかし護衛は落ち着いていた。薙刀を持ったレッドアラートの一員が一歩前へと進み出る。 「コイツはオレに任せとけ!」 ウオフライは柵に足を乗せ、海の中に飛び込もうとする。薙刀を垂直に立て、青い海へと突き刺すように潜り込んだ。 「これでどうだっ!!」 海面から水柱が吹き出てきた。砲弾は下から突き上げてくる水圧に押され、軌道を変える。弾は水に弾かれ、海へと落ちていった。水中で爆音が静かに鳴る。 カラスティングは、ウオフライが飛び込んだ海の波紋を見下ろした。先を越されたせいか、その眼には闘志が漲っている。 「……フン、なるほどな。俺も一汗掻いてこよう」 黒い翼を羽ばたかせ、優雅に船の上から舞った。 距離は約半マイル弱。白い霧を掻き分けて、相手の船へと飛び向かう。だんだんと近づくにつれ、敵の姿がはっきりと映し出された。 イレギュラーだ。数はざっと十人。半数がメカニロイドで半数がレプリロイド。レプリロイドは全員ヒューマンタイプだった。 事件の規模の割りには数が少ない気がするが、気のせいだろうか。 それともここにいる全員がA級以上の精鋭なのだろうか。 カラスティングは短剣を握り締め、頭上から敵地へと乗り込んでいった。 −***− 急降下と同時に敵を一体斬り払った。イレギュラーのボディは真っ二つに割れ、そのまま地面にごろんと落ちる。 カラスティングは着地寸前に身を回転させ、再び宙へと舞った。今度は右手を後ろに引き、短剣をデッキに向けて投げつける。勢いよく回転した刃は、デッキ上の敵を一体、二体、三体と傷つけた。そして刃はブーメランのように旋回し、カラスティングの手元に戻る。 イレギュラーは一斉に構えた。バスターを頭上に突き上げ、カラスティングをロックオンする。空を飛べるメカニロイドは、体当たりで彼を捕えようとしていた。 「甘いな」 網の目のような攻撃を、上昇して掻い潜る。空間座標で動く物体に当てるのは難しい。Z軸を持つのは、空を飛べる者の特権だった。 カラスティングは再び急降下する。敵の攻撃を避けつつ、甲板の上へと降り立つ。空気が彼を中心に渦を巻いた。体勢を低くして一秒間動きを止める。 「カミカゼ!!」 叫んだとたん、風が動きを変えた。カラスティングを取り巻く風は、周りへと解き放たれる。これで一気に船上を清掃するつもりだ。 イレギュラーは風に巻き込まれ、海へと投げ出された。マストが折れるかと思われるほどの勢い。風速120km/h。 船にかかっていた霧も、神風によって晴れていった。船の上に残ったのは、カラスティングただ一人。他の敵は全て海の藻屑となり、ウオフライに喰われているだろう。 だが、戦いはまだ終わっていなかった。 「んー? 何か表が騒がしいけど、どうかしました?」 船内からひょっこり一人のレプリロイドが現れる。今更、と思われるほどに呑気な調子だった。 カラスティングは身を翻してそいつを見る。戦場に似つかわしくない雰囲気に一瞬目を細める。 「……!?」 そこに立っていたのは、優しそうな眼つきの青年だった。長く淡い金の髪に、吸い込まれそうな空色の双眸。特徴的なのは服装だ。さっき倒した奴らは全体的に『海賊風』であったが、目の前の青年は『修道士風』。白のローブに白の帽子、胸には青の十字が刻まれている。肩には銀のバッジが光っていた。 青年はデッキを見渡し、そこにいるのがカラスティング一人だということを確認すると、にっこりと微笑みかけて話し始めた。 「こんにちは。今日のお客さんはキミだね? これはまた、随分派手に暴れちゃってますねぇ」 「……貴様、何者だ」 「私――いえ、私たちのことはご存知ないのですか? 空の者には、海の事情のことを聞かされていないんですかね」 「……?」 どういうことだ。この男は一体、何が言いたいのだろう。 カラスティングは身構えたまま黙考する。 霧はすっかり晴れ、太陽が強く日を射した。漆黒の影が地に落ちる。 風も強まった。潮の混じった空気が彼らを取り囲む。じりじりと焦げるように感触が鎧を伝う。 影が太陽を横切った。船が一瞬だけ暗くなる。 「私は『ブルークロス』の副会長セムト。すでに貴方たちは、私たちの術中に陥ってますよ。貴方と……、そしてもう一人の魚の戦闘員がこの船に来たのは何のためだと思います?」 「!? 何だと!?」 カラスティングは背後を振り返る。黒い影が通り過ぎ、そしてそれは漁船の真上へ――。 船だ。飛行船。何故あんなところに。敵の船はもう一隻あったのか。 奴らの狙いはそう――飽くまでも漁船だった。 幽霊船騒ぎでレッドアラートを誘き寄せたのは、奴らの作戦だったのだ。 飛行船から爆弾が投下される。 護衛すべき漁船へ。戦う力のない人々へ。 「……ちっ!」 素早く踵を返し、セムトに背を向け羽音を立てた。青い空へと黒い翼が舞い上る。飛行船を目指し一直線に向かっていった。 思ったよりも距離が遠い。幽霊船に降り立ったほんの数分間、セムトは少しずつ移動させて漁船と幽霊船を引き離しておいたのだ。 空飛ぶ怪物を睨み据え、カラスティングは最大速度で飛び向かう。 ――駄目だ、間に合わない! −***− 漁船から数メートル離れた海から、一人のレプリロイドが水飛沫を立てて跳び上がった。 薙刀を振りかざし、降下する爆弾を縦に斬り払う。 ウオフライは船へと着地した。割れた爆弾は空中で静止し、赤い爆発を起こす。 爆風で船は大きく揺れた。だが、なんとか直撃は免れた。船員たちは皆硬直し、爆炎の空を見上げている。 「『ブルークロス』か……。ケッ、厄介な団体と当たっちまったぜ!」 ウオフライは頭上を仰ぎ、空飛ぶ船にペイントされた青の十字を睨みつけた。 「奴ら、飛行船まで持っていたとはな。レッドがカラスを同行させたのも、そういうことか」 翼のないウオフライでは、飛行船に近づくことはできない。水中は制しても、空を制することはできないのだ。 (ここでじっとしているしかないのか、オレは) 飛べなければ敵地に乗り込むことができない。それが何とも歯痒い。 再び爆弾が投下された。 ウオフライは薙刀を床に突き立て、海中から水柱と共にミサイル二機を召喚する。 ミサイルは爆弾をロックオンし、真っ直ぐ向かって衝突させた。そして爆発。 大きな揺れが、また船を襲う。 「くっそー。これじゃ埒が明かねぇ! おい、おっさん! 面舵一杯だ! あの船から逃げるぞ!」 この状況では勝ち目がないと判断し、ウオフライは船員に指示を出す。だが、船員たちはどういうわけか動じない。 「……? おい、何をしている!? 早く逃げねぇと――」 「海の漢が、敵に背を向けて逃げ出せというのか!!?」 突然浴びせられた怒声に、ウオフライは唖然とする。 (はぁ? 何だこいつら。ばっかじゃねーの?) 寸前まで喉に出掛かった言葉をかろうじて抑えようとする。男たちの気迫が尋常ではない。下手なことを言うと、オクトパルド殴りにされるのが目に見えてるからだ。 「俺たちは死を覚悟してこの海に出た!! 逃げることは、俺たちの誇りを失うことだ!!」 「武器こそないが、俺たちは最期までここで闘う!! これが海の漢の生き様なりっ!!」 船乗りは皆、床に腰を降ろしていた。どっしりと構えて、青十字の飛行船を細く見据える。海と共に散るのなら本望だ、と言わんばかりに。 ウオフライは頭を抱えた。命よりも誇りを大事にする海の漢たち。だから漁師はキライなんだ。 (どうしてこうも、アホばっかり集まっていやがるんだ。オレはヤだぞ。こいつらと心中するなんてまっぴらゴメンだ!) ウオフライは手摺に駆け上り、海の中へと飛び込もうとする。もちろん自分だけ逃げるつもりだ。彼が狡猾かつ卑怯だと言われる所以はそういうところにあるのだろう。 しかし、それは叶わなかった。 海へと落ちるはずの彼のボディが、跳躍したまま空中で静止している。何故落ちないのか。 身体に吊るされた抵抗を感じて、彼はその因子を思い出す。 ――ここには監視役がいたのだ。 振り向くとすぐ背後に黒翼の好敵手がいる。 「……任務を途中放棄させるわけにはいかんな。お前を監視すると言っただろう?」 カラスティングはウオフライを鷲掴みにし、そのまま上昇する。鳥が捕ってきた魚を運ぶように。 「カ、カラスっ!! てめー!!」 「諦めろ。これも仕事なんでな」 ウオフライを連れたまま、カラスティングは飛行船へと近づく。さらに上昇して船の真上に入った。敵地の状況がよく見下ろせる。 イレギュラーは二十三人。全員、人型のレプリロイドだ。『ブルークロス』の集団は主にヒューマンタイプで結成されているらしい。 「行ってこい」 そう言って彼は、ウオフライを掴んでいた足をぱっと放す。吊るされていた足の縛りが解かれ、身体がひゅっと降下していった。 反発する間もなく、ウオフライは一気に敵地の中心地へと投げ出される。余りに酷な試練だった。カラスティングは無理難題でも容赦なく押し付ける。しかし当の本人は、すぐにどこかに行ってしまって姿がない。 「ちくしょー!! アイツめ、覚えてろよっ!」 恨みごとを言いながら、ウオフライは周りを見渡した。 不信そうな眼で来客を見つめるイレギュラーたち。全員が皆、白地に青十字の衣装を着ていた。これが『ブルークロス』の制服らしい。 二十三人のイレギュラーは、一斉にバスターをウオフライに向けていた。 まさに四面楚歌。逃げる場所は、どこにもない――。 |
<< top << text << novel | next >> |