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投稿小説

Rockman X ソウルイレイザー(第六話〜第拾話)
制作者:真アルティメットアーマーさん


 ラグズランドの研究室の一室。
 ガレスと謎の女性が話していた。
「やはり、イレギュラーハンターが来たようね……」
「お前が堂々とこの島で実験をやりすぎたせいだ……研究員全員、存在不明……大量イレイズとなっているらしいがな」
 ガレスの言い方にムッと来たのか女性が挑発した。
「私がいなければ、イレイズ現象を発見することは、出来なくってよ! その前に、貴方がここでやれって言ったんじゃない」
「そうだったな……」
 ガレスは、関心がなさそうに応えた。
 急におとなしくなったガレスを見て、言う気が無くなったのか、口を閉じた女性。
「しかし、なぜ奴等をガーディアンと闘わせるのか……?」
「あの坊や達は、仮にもあのお方を倒した子達よ……まだ、ソウルで完全に強化されていない貴方には、勝てっこないわ……まあ、あの子達の資料もほしいのよ、戦闘データがね」
 女性は、研究者特有の眼差しをガレスに向けた。
「まあ、目的は同じなんだし、なかよくしましょうよ……」
 女性は、女王のような口調で言った。

第六話

 エックスとゼロは二手に分かれていた。
 ガーディアンを倒すためである。
 二人でやったほうが確実に勝てるとエックスは言ったのだが、ゼロは時間が無駄だと言ってそれぞれで闘った方がいいといったためである。
 今、歩いているのは密林。
 アマゾンのように生い茂っている樹木は、視界を奪う。

 密林の奥深く……。
 謎のレプリロイドが通信機で話していた。
{イレギュラーハンターは、見つけしだい抹殺せよ。絶対取り逃がすな!}
「いえいえガレス様、もうすでに我が庭の中に入っております……我が力で哀れなハンターを血祭りにして差し上げましょう」
 レプリロイドは通信を切った。

 エックスは、何者かの視線に気づいていた。
 目もとをえぐるような視線に……。
 しかし、周りは相変わらず樹林だらけ。
 視界には、何者かわからない。
 エックスは、気を静めると目をつぶり第六感を働かせた。
 聴覚のセンサーを最大にした。
 しばらくたって、目を開けると一気に右腕をバスターに変換し、斜め右に光弾を飛ばした。
 樹林に当り、炸裂すると何者かが姿を現した。
 エックスやゼロと同じ人型のレプリロイドであったが、何かが違う……。
「お前が視線の正体か……」
 レプリロイドは、笑みを浮かべながら見つめる。
「俺は、バルグス=ゲリス……この島のガーディアンの一人といったところか……ガレス様からお前を抹殺するように言われているぜ!!」
「そうか……お前がガーディアン!!」
「聞いてるぜ……あのシグマ様を二度も倒しているそうじゃねーか……しかし、俺にはそれほどすごいっていうには、思えねーな」
「そんなことはどーでもいい! ガレス達はどこにいる!?」
「それが知りきゃ俺を倒しな!!」

 エックスの周りをバグルスが高速で動き回っている。
 エックスには、音しか聞えない。
 その音も、瞬速で移動するので、とても追いつけない。
「……どこだ……どこにいる!?」

第七話

 いきなり、真正面から、殴りかかってきた。
「くっ」
 なんとか、ぎりぎりの位置でよけるエックス。
(ん?)
 頬に痛みを感じて、触ってみると生温かい感触がした。
 指には、血がついている。
(いつ、切れたんだ……?)
 思惑していると……。
「ボーっとしてんじゃねぇよ!!」
 声が後方でした……エックスが気がついたのは、そこまでだった。
 次の瞬間、再び殴られ、目の前の樹木に激突した。
「痛う……」
 あまりの速さに感知することが、出来なかった。
 エックスは、顔を上げて気がついた。
 鎧に切り傷があり、その裂け目から血が流れている。
「くそ……何がどうなってんだ……」
 再び、攻撃された。
 激痛がエックスの体を走る。
「ぐああああっ!!」
 背中の部分の鎧がえぐれ、血が噴出している。
 エックスは倒れてしまった。
 もはや、あの青い鎧は、鮮血で、鮮やかな赤い鎧となっている。

(く……何故……)
 攻撃が止まった。
 顔を上げると、バルグスがエックスを見ている。
「ふ……まだ、くたばっちゃいねーみたいだな」
 笑みを浮かべている顔が瞳に入ってくる。
「今、お前が思っていることを当ててやろうか……?」
「……」
 体を立たせようと踏ん張るが、激痛のせいで力がはいらない……。
「なぜ、攻撃を受けると同時に切り傷が出来るのか……だろ?」
「……」
「教えてやろうか?」
 バルグスが言った。
「かまいたちって知ってるか? あれと同じさ……俺は、高速でお前の周りを走りまくっている。そこから、攻撃を仕掛けると風が切れ、刃……かまいたちとなってお前に襲い掛かるのさ。まあ、お前には止めることは不可能だけどな……」
 エックスの口が開いた。
「……なるほど、そういう仕掛けだったのか……残念だったな。バルグス……今、お前の倒し方がわかったよ」
 エックスは立ち上がった。
「ふ、強がりをいってんじゃねーよ。現にてめぇは、ぼろぼろじゃねーか!」
「強がりじゃないさ。なら試してみればいいだろ? 本当なのか……嘘なのか……」
 エックスは、ファイティングポーズをとった。
「……これから、始まる第二ラウンドをな!!」

 エックスは、右腕のバスターから光弾を撃ちまくっていた。
 いや、辺りに乱射していた……というべきであろう。
 ガトリングガンのように……。
 バルグスは、なんとかそれを避けながら走っていた。
 しかし、光弾をよけるので精一杯のようで、エックスに攻撃を仕掛けられないようである。
 バルグスは、攻撃を仕掛けられない自分にイラついていた。
「くそっ、なめやがってぇぇぇ!!!」
 急に走り回るのを止めると、エックスに飛び掛った。
 エックスは、腕を解除すると右腕でブロウを仕掛けた。
 ブロウは、見事入った。
「ぐはっ」
 一瞬、動きが止まったが、再び走り出した。
 エックスも、右腕をバスターに変換し、再び乱射を始める。
 先ほどの状況に戻る。
 バルグスは、避けるだけの方法が歯がゆかった。
 敵をいたぶりながら殺す彼にとって、一番、情けなかった。
 何も、考えずにエックスの前に飛び出した。
 ただ、エックスを切り刻むという私欲以外。
 エックスは、バスターをチャージした。
 とどめをさせるのは、逆上して理性を失っている今しかない。
「もらったぁぁぁ!!」
 エックスのバスターから、チャージショットが放たれバルグスの腹部にたたきこまれた。

「へ……この俺が……逆上して……負けるなんて……ざまーね……な……」
 バルグスは、エックスに倒されていた。
「ふ……ひとつ忠告を……してやろう……いくら……おまえらが……シグマ様……を倒したとして……も……ガレス……様達には……かなわない……ぜ……」
「達!? ガレスの他に一人いるのか!?」
「死にたく……なけりゃ……さっさと……島から……出な……逃げたとしても……変わらないかも……しれな……い……が……な……」
 バルグスの体は、煙と化し消えた。
 後には、エックス一人が残された。
「……確かに何もかわらないかもしれないな、だから俺達が来たんだよ!」
 エックスは、傷を抑えながら呟いた。

 爆音……。
 ゼロには、かすかに聞えた……。
 何の音か……ゼロにはわかっていた。
(エックスが闘っているな……)
 少し心配であったが、すぐに打ち消した。
(あいつなら大丈夫だ……)
 確信があった。
 親友を信じているということだろうか……?
 ゼロは、再び歩き出した。
 彼もガーディアンと闘う気は、満々であった。

第八話

 突然、後方から何者かが斬りかかってきた。
 刃がゼロの鎧に触れようとした時、一気にビームセイバーを引き抜き、刃を止めていた。
 ビームセイバー同士がぶつかり合い電撃を発していた。
 すかさず、斬ろうとしたが避けられてしまった。
 目と鼻の先……前方に紫色に輝くビームを放つビームセイバーの柄を握っている男がこちらを見ていた。
「さすが、あのシグマ様に次ぐ力の持つ男だ……すばらしい……」
 男の言葉は、ゼロをほめているのか……それともこれから遊ぶ相手に対しての自己満足なのか……。
「貴様……何者だ!?」
 ゼロは、ビームセイバーを構えながら、向かい合っている男に問う。
「俺は……ガーディアンの一人、イスリ=ファラエラだ。お前と同じセイバー使いさ」
 かつて、エックスが北極で闘った(シグマ大戦後期)カウンターハンターの一人、アジール=フライヤーのような、残忍な目つきをしていた。
(……殺人者の目だな、こりゃ……)
 直感的に悟った。
 殺人という快楽におぼれている様子である。
 相手を斬りながらなぶり殺すことが、生きがいなのだ……。
「まあ、楽しませてくれよ……斬ることの楽しみをな」
「俺は、おまえごときに殺られないぜ……今、やらなくてはならないことがあるんでな」
 ゼロの言葉に、嬉しさを感じたのか笑みを浮かべた。
「上等だぁ」
 二人は、ビームセイバーを構えなおすと、走り出した。

 刃と刃がぶつかり合う。
 高出力ビームセイバー同士がぶつかり合えば、その時放たれる電撃もすさまじく、膨大な量である。
それ程に、二人の闘いはすごかった。
 一歩退けば、一歩攻める……。
 その繰り返しである。
 再び、イスリのビームセイバーがゼロに降りかかってくるが、それを封じるゼロ。
 二人の実力は互角か、ゼロの方がほんの少し上ぐらいに見える。
 闘いは、目ぐるましいが、二人ともここまで相手が来るとは、心底思っていなかったであろう……。
 久しぶりに、強敵と闘うことが出来た……とゼロは思った。

 そのような状態が小一時間ばかり続いただろうか……。
 二人の闘いは、まだ続いていた。
 だが、二人とも満身創意のようである。
 次の一撃に全てをかけると思ったようだ。
 動きは、止まっていた。
 風が吹き、一枚の葉が地面に落ちた。
 同時に二人は、走り出しビームセイバーを振り上げた。

 一本のセイバーが宙を舞っていた。
 それは、ゼロか……イスリか……。
 セイバーを持っていたのは、ゼロだ。
「ゴハッ」
 イスリは、口から血を吐き、倒れた。
「ふ……意外と楽しかっ……たぜ……」
「冥土の土産さ。今の一撃がな」
 ゼロは、イスリを眺めながら言った。
 やがて、イスリの体が煙となって消えた。
 ゼロは、しばらく無言だったが、セイバーをしまうと、イスリのビームセイバーを拾い上げ、ビームを消した。

 研究所の一室……。
 中は実験施設と思われる物が、見渡すかぎりある。
 これだけの物で一体何をしようというのか……?
 男がドア付近に立っていた。
 ずっと、無言であったが口を開いた。
「……ガーディアンが全滅したようだ……あれから一日も経過していないのにな……」
 男=ガレスは目の前でモニターのキーボードをたたいている女性に言った。
「あのイレギュラーハンター達には、多少のダメージは与えたようだが……あれでは、ガーディアンとして全く意味がない」
 いぶかしげな言葉に女性は、動かしている手を止めた。
「まあ、いいじゃない……当初の目的は達成できたんだから……」
「データか……だがそのデータを持ってしても解析は、出来なかったではないか……」
 そう、ガーディアン達との戦闘からエックスとゼロのデータを採取し、解析しようとしたが何もわからなかった。
 ……というより、解析が出来なかったのだ。

第玖話

「この後、どうする……?」
「どうするって、島のガーディアンは全滅でしょ……」
「肝心のガーディアンが二人というのが致命的だったな」
 ガレスは、歯軋りした。
 一方、女性の方は、冷静である。
「俺達の強化は、どうなっているんだ?」
 ガレスは、機械に目を向けた。
 巨大なモニターから配線で繋がれ、謎のカプセルに繋がっている。
 それらは、相変わらず光を放っているだけである。
「ソウルでレプリロイドの生成に成功したんだから、強化までもう少しよ」
「しかし、それでは……」
「いいから、あのボウヤ達にこの研究所の場所を教えてあげなさいよ。乗り込ませ
ればいいじゃない」
 女性は、楽しそうに言った。
「それでは、俺達の強化が間に合わないぞ」
 女性は、ガレスの方を見て。
「大丈夫よ。さっき新たなガーディアンを造りおえたから……」
「いつの間に……」
「レプリロイドソウルでレプリロイドを生成する……その集大成よ……まあ、レプリロイドではないけどね」
 女性は、モニターにそのガーディアンの設計資料を表示した。
「今までのガーディアンよりかなりの上出来よ……全ての能力値を最大限に上げてあるから」
 その資料にガレスは、興味がなかった。
 自分達が強化できるまでの足止めが出来ればよいのだ。
「後は、電源をいれるだけ」
 女性は、キーボードのキーを押した。

 エックスとゼロの前に現れたホログラム……。
 中からは、ガレスの声が聞えてきた。
「お前は……」
 ゼロの言葉をガレスが遮る。
「「さすがにあの程度では、お前達を倒せなかったようだな……」」
「ソウルイレイザー……ガレス!」
 ゼロは、男の名を呟いた。
「「お前達を俺達の研究所に招待しよう……決着をつけようじゃないか」」
「やっと闘る気になったようだな……」
 ゼロは、ガレスを睨みつけた。
「お前達の研究所とやらはどこだ……」
 一言もしゃべっていなかったエックスが口を開いた。
「「……ここだ」」
 ホログラムの中から地図が表示され、赤い点があるところを指でさしていた。
「「せいぜい、楽しませてもらうぞ……」」
 そう、言い残すとホログラムは、消えた。
「お前の怪我はどうだ……?」
 ゼロは、エックスの体を見た。
 バルグスとの闘いで傷を大量につけられた体には、鎧の上から包帯がまかれていた。
「まあ、今のところ大丈夫だよ……」
 エックスは、立ち上がりながら言った。
 薄茶色の髪は、風に靡いていた。
 その頭にメットをかぶる。
「それじゃ、出向くとするか……」
 ゼロは、独白した。

 研究所内は、薄暗く、壁から配線がむき出しになっているなど、昔のラグズランドの研究所とは、大違いだった。
 その中を青いよろいと赤いよろいの男が歩いていた。
 エックスとゼロだった。
 二人は、異変に気づいていた。
 迎撃が出てこない……。
 わざわざ自分達の本拠地を教えたのだから、普通は出てくるはずである。
 これは、どうしたことだろうか……?
 回廊に響く足音だけが不気味に聞える。
 これから起こることの前兆のように……。
(何かあるな……)
 エックスは、思い始めていた。
 進む速度は一定に保っているが、周囲には気を配る……。

 やがて、広い場所に出た。
 四方五百メートル、高さは五十メートルほどあった。
「なんだ……ここは……」
 ゼロは、誰に問いかけるわけでも無く呟いた。
 ふと前方に目を向けると向こう側に通路が見える。
「さっさと行こうぜ。エックス」
 ゼロは、歩き出した。
 その肩をエックスの右手が掴んだ。
「なんだよ」
「……まだだ、何かが来る!」
 エックスの言葉の後、突然入ってきた通路と前方に見える通路がふさがれてしまった。
 すると、今度は天井がくだけてそこから何かが落ちてきた。
 その落ちてきた物は、地上に触れる瞬間、体を曲げ、衝撃が伝わらないように着地したのである。
 それは、人型をした機械に見える。
 その時、部屋にスピーカーから声が響く。
「「ふ……きたようだな……この実験室に……」」
「おい、これはどういうことだ!?」
「そいつを見てわからないか? お前達には、今からそいつと闘ってもらう!」
 ガレスの声の後に女性の声がした。
「「私の開発したこのガーディアンと、どこまで闘りあえるかしらね……今までのガーディアンとは、比べ物にならないわよ……」」
「なんだと……」
 エックスとゼロは、絶句した。
 無理もないだろう。
 今までのガーディアンでさえ、倒すのが困難だったというのに、それを上回る強さを持つガーディアンが目の前にいるのだから……。
「「死のパーティの始まりだ!!」
 ガレスの声が、室内に響き渡った。

 エックスとゼロは、相手の出方を待っていた。
(レプリロイドじゃないな……メカニロイドか?)
 人型の機械と思われる者に対しての疑問だった。
 人型と言っても、だいだいそう見えるだけである。
 頭部……球体の頭が直接、胴体につながっているのである。
(首がない)
 それから両腕、両足が蜘蛛のように異様に長く、関節らしき物が出っ張っていると見える。
目は、二つあるが、赤く染まっている。
 これは、カメラ・アイだ。
 全長四・五メートルは達しているであろうその身体には、銀色に輝く装甲が、装着さ
れている。
 それ……機人は、二人をじっと見ている。
 そこからは、何も感情が読み取れない。
 そもそも、その機人に感情があるとは、見受けられなかった。
(ただのマシーンだ……こいつは……)
 エックスは、悟った。
 命令に忠実に従うロボット。
 その機人は、まさしくそれだった。

第拾話

 エックスとゼロがこの機人と睨みあっている時間は、少なからず遠からずと言ったところであろうか……。
 この沈黙の間を破るのは、果たしてどちらであろうか……。
 機人の左腕が、少し上がる。
 ゼロは、ビームセイバーを抜き、構える。
 次の瞬間、機人の左腕が疾風のごとく二人に襲い掛かった。
 ゼロは、ビームセイバーでそれを止める。
 機人が動きだしたのを見たエックスは、すぐさま右腕をバスターに変換し、光弾を連発する。
 光弾は、ゼロと立ち合っている機人に全弾命中するが、機人の装甲が、わずかに黒ずんだだけであった。
 機人には、何も感知されなかったのであろうか、両腕でゼロに攻撃を仕掛けている。
 ゼロは、その攻撃を何とかビームセイバーで受けているが、機人の攻撃の速度が上がっていく。
「やばいっ」
 終には、防御が間にあわなくなり、とがった腕がゼロの顔面を貫こうとする。
 そこに、閃光と共に大光弾が機人に直撃する。
 煙の中で、機人はやっとエックスの存在に気づいた。
 標的をエックスに変えると、すさまじい速さでエックスに襲い掛かる。
 機人の装甲は、エックスの大光弾があたったにもかかわらず、白銀の鈍い輝きを放っていた。
 すさまじい、装甲の硬さといったところか……。
 空中から機人の左腕が動く。
 届く間合いではないが、途中でその腕が伸びた。
(何っ!?)
 予想外の展開にエックスは、驚いた。
 ぎりぎりの位置でそれを避けるものの、顔のすぐ右えお機人の腕が通っていく。
 避けたところに、右腕が襲い掛かる。
 とっさの判断で伏せるが、頭上を右腕が通り抜けていく。
 伏せるのが、少しでも遅かったら、エックスはその腕の餌食となっていただろう。
 その上から、今度は足が襲い掛かる。
 すでに、バランスを崩しているエックスに、それを避けるのは不可能だ。
 エックスが、貫かれようとした時、ゼロがビームセイバーでそれを止めていた。
 ビームセイバーから電撃がバチバチと鳴っている。
 機人の装甲がゼロのビームセイバーをも、凌駕しているのだということか……。
「ちいっ」
 舌打ちしながら、セイバーを回転させ機人を弾き返した。
 ゼロの息がとても荒かった。
 ここまでの敵を相手にしたのは初めてである。
(まずいな……奴の力と速さ……どれも俺達を上回っているかもしれねぇ)
 普段は、自分より強い者との戦闘を楽しんでいるゼロだが、今は違う……。
 今のゼロには、焦りが見えている。
 ゼロは、エックスに顔を向けた。
 エックスは、ゼロが何をしようとしているのかを悟り、頷く。
 二人は、機人から間合いをとり、走り回る。
 その間にもエックスの右腕のバスターとゼロの左腕のバスターから緑色の光が生じる。
 二人は同地点に立ったとき、バスターを機人に向けた。
「いくぞっ!!」
 ゼロの掛け声と同時に、二人のバスターから大光弾が撃ちだされた。
 それぞれの大光弾は、機人に向かっていくにつれ、一つとなり、エネルギーの密度が大きくなった。
 それは、ことごとく機人に直撃した。
 閃光と共に爆発が生じた。
「……終わったな……」
 バスターを降ろしながら、エックスは独白した。
「まあ、あれを受ければな……」
 ゼロは、苦笑した。
 一人の力だけでは、たとえチャージショットでもダメージを与えることが出来ない。
 なら、二人の力を一つにするというのが、得策だった。
「く……」
 エックスは、激痛に襲われた。
 包帯を巻いていた傷口からは、血が滲み出していた。
 完治していないのに、先程のように激しく動いたからだ。
「おいおい、大丈夫かよ?」
 ゼロが笑いながら、治療を施そうとした時……。
「!!」
 悪寒に襲われた。
 機人が、居たところに目を向けたゼロ。
 そこには、まだ煙が漂っている。
 次の瞬間、煙の中から赤白い光の束が放出された。
 その光の束は、ものすごい速さでゼロに直撃した。
「……っ!!」
 何が起こったのかわからなかった……。
 余り物の衝撃でゼロの体は、壁に押し付けられた。
 光が止むころ、エックスはゼロの方へ顔を向けた。
 メットが砕け、金髪が垂れている。
 そして、倒れているゼロ。
「ゼロっ!!」
 エックスは、ゼロの名を呼ぶ。
 しかし、返事は返ってこない。
「……」
 エックスの頭の中は真っ白に、なった。
 心の中で何かが動いている。
 ……ドックン……ドックン……
 エックスの体から、輝きが放たれている。
 エックスが、機人の顔を向けた時の形相……激怒していた。




制作者コメント
移項していただいてありがとうございます。
さて、一人目のガーディアンが登場しました。
ゲームでは、Xシリーズの中からボスが選ばれておりますが、この小説では、新たに
ボスをつくることにしました。(第六話コメント)

うまく、互角の強さというのが、文章に表せなかったです。
エックスが敵の倒し方を見つけるという点でゼロの場合は、最初からハードのような
感じがしますので、ストーリー的にはよかった気がします。(第八話コメント)

「ソウルイレイザー」の中でもっとも、激しい戦闘がおこなわれました。
文章を書くときも、かなり悩んでしまった物です。
では、第拾壱話で!(第拾話コメント)


管理人コメント
ガーディアンをオリジナルにするとは、なかなか面白いですね。
バグルスとイスリ、攻撃方法に個性が出てますね。
機人ってのは、イーサー&ソウェルの代わりでしょうか。
ゼロ、やられてしまいましたね・・・。続きを楽しみにしてます。
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